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第13回目上条さんと寺尾さん②

​ハラハラしちゃう二人

現地スタッフも驚いたこと

 

 お話ししている間に、寺尾さんがたくさん写真を見せてくださっていたのですが、そのうちの一枚を見ていたとき、寺尾さんがこのように言いました。

「これは、イスラエル観光したとき行ったタクシーの運転手さんの家。子どもとか、いとこやらが、みんな珍しいからって寄ってきちゃって。」

 写真には、中東風な作りの家のリビングみたいな所に、目のくりくりしたかわいい子どもたちが写っていますが、それよりも何よりも、運転手さんの家、行くんだ・・・。と思いました。

-運転手さんの家に行ったりするんですね。運転手さんが、来いよって感じで言ってくれるんですか?

 「交渉するわけよ。ベツレヘムに着いて、幾つか観光に行きたい、案内してほしいってときに、タクシーの運転手が来て、言うじゃない、『これで幾ら』、『いや、もっと安く、このくらいにしたい』、そしたら『子どもがいるとか何だかんだ(家族を養わなければならない)』って、『またおまえも子どもかよ』って思うんだけどね(笑)、『あそことあそことあそことで、うち来てお茶飲んでいいから、で幾ら』みたいなのを聞いて、じゃあお茶込みでみたいな。

 上条さんと私だから、ああそうかみたいに行くけど、本当はそれで行って殺されてもしようがないんだけどね。そのときたまたま用事で、ガザにいる子どものキャンペーンのスタッフから電話が入ったんだけど、『今どこですか』、『運転手さんの所でお茶飲んでます』ったら、『ええー?!』って。『何ですか?!』みたいな感じで。」

イスラエルの空港でのひと悶着

 「イスラエルの空港を出るときも、飛行機に乗るまでがやっぱり大変だった。荷物先に預けるでしょ、こんな変な所(荷物検査の機械に)通すじゃない。ぴって通したら、入っていける人と、ここ並びなさいっていう人といて、それがすごい時間かかるのよ。

 荷物を持って並んでるんだけど、ずっと中の様子を見ていると、1人の日本人女性は、見ている間、ずっと何だかんだ言われてて、荷物も全部出したりしてて、あの人大変だな、私たちはこれからどうなるんだろうって思いながら、それでも長い時間かかって順番が来て、荷物を通したら、私は入っていいよって言われたのに、上条さんが行っちゃ駄目だって言われたのよ。上条さん、顔色変えないけど、きっとそこでパニックになってたのね。ずっとそこで何だかんだ言われてんのよ。

 私、あんまりそこにいちゃいかんかなと思って、離れて待ってたの。でも様子を見に行ったら、ガザの人にもらった絵のカタログがあるじゃない。『これはどこでもらったの』って聞かれて。でも私ものんきで、あんまり英語力もないから、『Old City(イスラエルの旧市街地)』って言ったのよね。

 待っている間に、いろんな並んでいる人が、どっか連れていかれちゃったりとか、荷物をがさがさにされて、これ後でどうやって入れるのっていうくらいになってたりしたし、カタログはアラビア語だから一緒だしね。そしたら『ふーん』って言ってそれで済んだ。上条さんも度胸のいい人なんだけど、どうかなっちゃってたんだね。」

-それ、もしガザって正直に言ったら、大変なことに。

 「絶対言ったらいけない。上条さんも、私よりも純粋だから、ガザでもらったしって思ったんだろうね。」

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