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第5回目レバノン編③

​現地の人たちとの交流

現地の人たちとの交流

 

-スタッフとか子どもたち以外の現地の人たちと関わる機会っていうのはありますか。

 

 「ベイルートでは、期間中1回くらいは、お宅訪問に行ったり、その間に、キャンプの中で結婚式があったり、お葬式があったり。結婚式は、前夜祭パーティみたいなのがあって、男の人の会場と女の人の会場が別々にあって、女同士だからかな、いつもブルカ(ヒジャブ)かぶって、肌を覆ってる人たちが、すごい洋風のドレス着ているの。それで練り歩くのね。

 練り歩くときは、バグパイプだか何だか、そんな感じの音楽をべろべろ演奏している所を歩いてきたり、かごみたいなのを持って踊ったり。私、踊りが大好きなの。ディスコ大好きなの。ああ、楽しそうと思って踊ってたら、引き戻されちゃって。『そこは男の人たちのとこだから』って言われて、『あらそうなの?』って(笑)。」

 

 「お葬式のときも、スタッフの人のお母さんが亡くなったから、ちょっと顔出すみたいな感じで集まりに行って、ご遺体はどこにあるか分からなかったんだけど、それも男の人の所と女の人の所と別々にあってね。

 

 そのとき同行した中に、男のスタッフが何人がいたんだけど、その中の1人がその男性会場に入ったっきりで、何しろ、その人が呼び出せないのよ。女の人だからそこに入れないから、困ったことがある。『出てこないね、でも呼びに行けないし』って。

 中東でも女性はブルカみたいなのかぶって、絶対顔出さない所もあるじゃない? でもバーレーンの難民キャンプは、そういう所じゃないから、ご飯とか男女でも一緒に食べるし、男の人も女性を手伝うし、男尊女卑でもないみたいな感じね。」

-当たり前といえば当たり前なのかもしれないけど、そういう結婚式とか、葬式とか、ちゃんとやるんですね。

 「やりますね。結構盛大に。そういうことが楽しみっていうか。日本の昔も娯楽が多様化していないときは、結婚式とか盛大にやったよね。」

-そこでコミュニケーションをはかるというか、それが、みんなが集まるときというか。

 「じゃないかな。ちょっとした気分転換にもなるし。」

-逆に言うと、そういう狭い所で暮らすと、みんなの結束が固くなるというか、仲が良くなるかもしれないですね。

 「その代わり、よそ者に対しては、例えば、金沢の人たちがよそ者に対して、結構シャイというニュアンスじゃなくて、命に関わることだから、警戒心が強いよね。だからそこの誰かと一緒に歩いていたら、絶対に危なくないけども、キャンプ内は、単独で絶対歩かないでねって言われてた。そういうのはすごく警戒しているから。」

-要は、テロリストかもしれないとか、そういうことですよね。

 「何がそこであるか、銃撃戦があるかどうか分からないし。」

-お宅訪問もされたということですけど、それもさっきのバラックみたいな、ブロックを重ねたみたいな。

 「結構ブロックが、土地の広さが決まっているから、どんどん高くなっていくのよね。6階くらい上まで上がっていくのが大変だった。エレベーターとかはもちろんないからね、で、もう入り組んでて、裏道とかも狭くって、私みたいな人だったら、1人で歩いたら迷って、元に戻れないみたいな感じ。」

-例えばベイルートの難民キャンプに行くと、同じ子どもに会って成長を見るというか、久しぶり、大きくなったねみたいなこともあるんですか。

 「上条さんは教えてた子が結婚して、その結婚した家庭に呼ばれて、あのときのあの子だねっていうことがあったって。」

-それは感慨深いでしょうね。でも、1週間程度だと個人的に深く誰か特定の子と交流するとか、そういう感じではないですか。

 「子どもたちはすごくなつくんだけど、言葉の壁があるのよね。英語は、少し向こうは知っているけど、『ハロー』とか言うくらいで。

 スタッフのジャミーラとかジャマールとか、こういう人はいつも出迎えてくれる。スタッフのジャマールはこんな感じ。被り物もしないし、胸も開けてるし、いつもTシャツとおそろいのアイシャドーをしているおしゃれな人。それ以外のお手伝いのスタッフさんたちは、ある程度英語もできて、また来たねって、そのときはすごく仲良くなるけど、それで精いっぱいで、その後どうするこうするっていうのはないね。でもすごく良くしてくれるし、優しくしてくれるし、『また来てね』、『また来るよ』みたいな。ここ3年、行けなくなっているんだけどね。」

ジャマールさん

-ここのスタッフさんっていうのは、皆さん難民の方ですよね。

 

 「うん。それでその中からちょっとずつやっていることを見て覚えて、私たちも材料とか置いていくから、それで次に来たときに、こんなことをした、あんなこともしましたよって、展示がしてあったりする。

 結構長いこと行ってたから、そんなふうに人も育ってて、今、行けないけど、絵の具とか、たくさんはないにしても、はさみとかもみんな置いてってるから、あるものでやったり、またそっちにある素材で工夫して何か作ったりもしているね。」

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