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第9回目

警戒態勢で暮らすイスラエルの人々

再びイスラエルへ

 ガザでのボランティアを終えた上条さんと寺尾さんは、帰国前にイスラエルで観光をされたそうです。インタビュー時には、お二人が訪れた旧市街地や、嘆きの壁、モスク、現地のざくろやオリーブ、水パイプ、あちらならではの石造りの美しい家などの写真を見せていただきながら、イスラエルのお話も伺いました。

エルサレムの警戒体制

 「私たちもせっかくここまで来たんだからって、イスラエル観光したの。エルサレムは、旧市街地とか、観光地があって、観光客や巡礼者がいっぱい来てるのね、聖地だからね。クリスマスの日にミサが世界中に放送されるような教会があったり、ここでキリストが十字架背負わされてとか、ここでつまづいたとかいう所があったりするの。

 それでエルサレムからベツレヘムに行くじゃない、バスで出るのは楽なのね、また、帰りのエルサレムに戻っていくバスに乗ると、途中で、停留所じゃないのに、わーって人が降りていくのね。学生さんみたいな人たちがみんな降りていく、何でだろうと思って見ると、何人かは残ってるのよね、私たちはどうしたらいいんだろう、でも分かんないから、まあ乗っていようかってバスの中に残っていたら、降りた人たちは証明書みたいなのを見せて、チェックを受けているの。

 結局、私たちは、外国人だからそういうのはないのね。滞在中に、エルサレムからバスで、上条さんが以前展覧会をやった街に行ったときも、出るのはいいんだけど、やっぱり帰るときは、また車の列で、そういう検問みたいなのがあって。だから、毎日毎日、エルサレムから出るのにはOKなんだけど、入ってくる人に対して、すごく警戒している。バスは1台まとめてだけど、車は列がすごいの。イスラエルはすごくチェックが厳しい、そういう所だった。」

 「それで観光して、エルサレムに帰ってきたら、パレスチナ人が抗議集会をしててね。私たちは何言っているかも分かんないし、訳分かんなかったんだけど、もう人がごった返してて、イスラエルの警察や軍隊の人も出てきていて。その集会していた場所がちょうどホテルのそばで、道が通れなくて、しばらくホテルに帰れなかったのよね。

 エルサレムは、軍人が街にいるのが当たり前みたいな、あちこちにたくさんいて、みんな銃を携帯してて、電車にも乗っているしね、それが最初、すごく違和感あるんだけど、だんだん慣れてくると、当たり前になってくる。慣れって恐ろしいんだけど。日本じゃそんなことないもんね。」

 写真で見せていただいたそのエルサレムに入るときに通過する検問所のような場所は、ちょうど高速の料金所のような感じでした。それにしても、日常の中に、厳しい警戒体制が普通にある生活とは、一体、どういう感じなのでしょう。

 周辺の国から認められない中、必死で居場所を作り、攻撃を繰り返しながら、日々このように防御し続けるというのは、きっとしんどいことだろうなと思ったのでした。

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