InLak'etch2016/12
今回は、石川県金沢市にお住まいの、アーティストであり、
絵画造形教室や専門学校、カルチャースクールでの美術の指導をされている、
寺尾ユリ子さんにお話をお伺いしました。
前回、石川県にある金沢湯涌創作の森へインタビューに伺った際に、
たまたま行われていた「パレスチナのハートアートプロジェクト展」を観賞したときのこと。
見終わって、玄関口に向かう私を見て、スタッフの方が出てきてくださったのですが、
お話をしているうちに、偶然にもその方ご自身が、ハートアートプロジェクトのスタッフとして、
パレスチナの難民キャンプに出向き、実際に、現地の子どもたちに、絵画や工作を教えてこられた
ということを知りました。それが、寺尾ユリ子さんでした。
お話が面白かったので、その場で、「録音させてください」、とインタビューが始まりました。
パレスチナについては、どうしても歴史的、政治的な目線で、
攻撃による被害がどれくらいで、人々がどれくらい苦しんでいるかというベクトルで語られがちです。
もちろん、そういったことも大切であり、
きちんと見つめていかなければならないことでしょう。
けれど私自身は、
まずは、そこで日々暮らす、
個々の人たちの顔や生活がきちんと見えてくるようなことが、知りたいと思いました。
寺尾ユリ子さんのお話は、そういうことが伝わってくるものでした。
明るくて、さばさばしていて、時に大胆。
こちらがびっくりするようなこともケロッとした顔をしてなさっていたりする寺尾さん。
いつも楽しみにしているという現地での食事の様子や、
子どもたちとの交流のお話からは、
喜んで、軽やかにボランティアに取り組んでいる様子が伝わってきます。
また、話の端々から、いつも自分の感覚を信頼して大事にし、
そして他の人のそれも同じように大事にしようとしていることが、
とてもよく伝わってきました。
自由にいろいろな話題を飛び回りながら、生き生きと語られるお話しぶりに、
何だか私も、一緒に旅行をして、子どもたちに会いに行ってきたような、
そんな気持ちになりました。
全16回でお送りします。
なお、今回の特集ページ内の画像は、寺尾さんが現地で撮られた写真と、
パレスチナのハートアートプロジェクト10周年記念の冊子に掲載されていた写真を、
使わせていただいております。